これまでの軌跡

  1. トップページ
  2.  >
  3. これまでの軌跡 一覧
  4.  >
  5. これまでの軌跡

5250 業務メニュー

今回のソリューションは、IBM i (AS/400) で稼働する業務アプリケーションを使用する際のメニューについてのお話です。

当社のお客様で数年前「IT全般統制」の対応をされた時、それ以前に当社が提案して採用していただいたプログラム制御のメニューに、新機能を追加して必要な機能のある部分を実装させていただいたことがあります。各種ログ収集やメールの送信など、「IT全般統制」の基本的な部分の一旦をこれで実現することができました。ここではそのメニューへの対応と関連する基本機能について触れていきたいと思います。


ユーザープロファイルの単位

お客様は、全ての業務がIBM i (AS/400) 上で稼働しており、それらへのアクセスについては、多くのIBM i (AS/400) ユーザーがそうである様に、「 業務・システム・部署 」といったグループ別のユーザープロファイルを持ち、そのプロファイル別にメニューを用意してありました。

IT全般統制への対応の胆は「漏れなく」ですが、最も重要な事は「やり過ぎない」事だと思います。それを踏まえた上で、様々な形体のユーザープロファイルをご提案し、お客様と協議した結果、お客様は最も適正であるが、恐らく作業量は非常に増えるであろう「個人単位」のユーザープロファイルを選択致しました。結果としてこの選択は「正しかった」と思います。が、IT全般統制に絡み非常に忙しいなか、自らの負荷増加よりも最適さを求めたお客様に、この文書を書きながら、今更ながら敬服しております。


現行メニューの洗い出し

話を戻しますが、「個人単位のユーザープロファイル」の導入が決定しました。この後は、メニューの構成を「業務単位」から「個人別の業務単位」に変更するために、プログラムの変更が必要か不要かなどの様々な判断をするために、現状の調査が必要となります。調査の結果、現在のメニューは以下の様に分類される事がわかりました。

  1. CLプログラムによりオンコーディングで提供されているメニュー
  2. *MENU により提供されているもの
  3. データベース化されており、プログラム制御により提供されているメニュー

メニュー・データベースの構築

長年 IBM i (AS/400) をご利用されておりかつ、全ての業務システムを自社開発されているお客様なので、様々な手法によりメニューが作成されています。その中でも弊社がシステム開発を受け持った際に提供した「データベース化されたメニュー」が最も汎用的であり、柔軟性も持っている事をご理解されていたお客様は迷う事なく全てのメニューをデータベース化する方向で進める事に決定致しました。

この作業も非常に困難を極めました。CLプログラム内にオンコーディングされているメニューや、*MENU で実現されているものの洗い出しを行い、一覧を作成します。その中でも条件により表示されるものが違う場合があったり、パラメータに違いがあったり、様々な問題点があり、簡単には行きませんでした。

何とか一覧も作成でき、それをデータベースへ登録します。次は、データベース化したメニュー一覧を個人別に要/不要の判断をします。この判断は我々は勿論、システム部門もできる事ではありません。そのため、業務を担当する各部署へ依頼致しました。できるだけ負担の無い様、オンラインで行いたいとの意向を受け、Webインターフェイスを使用したアンケートアプリケーションを作成しました。必要な機能だけを個人別にチェックする様にしたものです。ある程度の期間を設け、各部署へアンケートを依頼します。


メニューの作成

アンケートを依頼している間、此方はデータベース化したメニューにどの様な機能を持たせるかを設計していきます。設計する際の考慮点としては以下の様なご要望がありました。

  • データベースを使用したメニュー
  • 上記データベース保守の簡略化
  • プログラム異常終了のロギングおよびメール通知

データベースを使用したメニューは ILE RPG で作成する事にしました。ILE RPGは再帰処理が可能であるため、階層化されたデータの取り扱いは比較的コーディングが少なくすみます。また、異常終了については、QCMDEXEC の戻り値でとらえ、ログを記録すると同時にシステム開発部門へメールを送信します。

5250 業務メニュー

メニュープログラムの実装も終え、各部署からのアンケート結果から個人別のメニューデータを作成します。その後、テストを兼ね各部門の使用頻度の高い担当者のユーザープロファイルへプログラムを組み込みテストを実施、テスト完了後、全ユーザープロファイルへ組み込みました。


現在

稼働して2年程経過します。当初はメニューの変更やプログラム異常終了が発生した際の対応方法など、システム部門の方も戸惑うところもありましたが、保守し易い様、ご要望に都度お答えしました。また、現在は業務フローや申請書類なども安定し、システム部門の皆さまも、各部署の方々も落ち着いてメニューの変更や登録に必要な作業を行っています。

プログラムコードとして考えればさほどの大きさではないですが、現在はこのプログラム抜きではお客様の業務は成り立ちません。お客様が何事もなく業務を淡々と行えている事に、この件を思い出すたびに嬉しく思っています。

これをきっかけに、お客様がお持ちの別のIBM i (AS/400) についても順次導入を行い、稼働を続けております。


お客様からの要望を実現するため我々は様々な角度からソリューションをご提案させていただきます。
お一人で悩まずに我々に是非ご相談ください。